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   私たち拓殖大学有志の会は
 安保法制関連法の廃止を求めます。

 2015年9月19日未明、日本が海外で武力を行使し戦争に参加することを可能にする安全保障関連法案が、政府与党によって可決・成立されました。

 

 この法案が憲法違反であることは、圧倒的多数の憲法学者、歴代の内閣法制局長官、弁護士などの法曹が明確に証言・指摘したところです。そしてこの法案は内容的に問題があるだけでなく、法案成立過程にも大きな問題があります。すなわち安倍政権は内閣法制局長官の人事に政治的に介入し、内閣法制局の憲法解釈を大きく歪めました。これは憲法が保障する適性手続の原則に反するものです。このように安保関連法案は憲法違反であるにもかかわらず、安倍政権はそれを無視し、法案の採決を強行しました。

 

 それに合わせて政府は、防衛省の組織にも手を加えて、文民統制を弱めるとともに、防衛装備庁を発足させました。また、2016年度予算案では、史上初の5兆円を超える防衛予算を組み、安保法制の具体化を進めようとしています。つづいて安部政権は、大学での軍事研究の活用を閣議決定し、研究・大学を巻き込もうとしています。

 

 今回の暴挙によるきわめて重大な問題は、立憲主義が無視され、民主主義、そして憲法に謳われた平和主義が大きく崩されたことでした。安倍政権は、その後も臨時国会召集問題で憲法無視を重ね、さらには「緊急事態条項」を突破口に、明文改憲を行おうとしています。

 

 これから用心しなければならないことは、批判を封じ込めようとする動きです。憲法が保障する学問の自由も脅威にさらされ、教育の自由や大学の自治もないがしろにされていくかもしれないのです。

 

 先の大戦では、日本人は一般市民も知識人も、軍部の独走を許してしまい、第二次世界大戦に突き進んでしまいました。そして本学もその国策の一翼を担ってしまいました。このことにより、大勢の卒業生が戦地に赴いて命を失いました。

 

 しかしもともと本学には、軍事力に頼ることなく外交による国際関係の改善を通して平和を実現しようとした先達がおりました。その人々にならって歩むことを忘れてはなりません。文京キャンパスの記念講堂にその名を冠した、後藤新平第三代学長と新渡戸稲造第三代学監がその代表です。

明治の終わり、後藤新平は、日中露3国の国際協調の方が日本国民の利益になると主張しました。昭和の始め、新渡戸稲造は、軍閥を危険視し「我、太平洋の橋とならん」 と日米の緊張緩和に努力しました。そして戦後七十年間、本学は、異なる文化生活様式の人々とともに生きる人材の育成を目指して歩んできたのです。

 

  安倍政権が危険な道に突き進もうしているこのような時期、私たちは、過去の歴史を反省し、先達の努力、そして国際大学としての本学の理念を思い起こし、また「学問の自由」を守るため、日本が武力行使と戦争への道、立憲主義・平和主義の破壊への道を歩むことのないよう声を上げ、力を尽くす決意を固めました。

 

 そのためには、安保法制関連法の廃止が重要な出発点になると考えます。拓殖大学に関係する多くの方々がこの趣旨に賛同し、安保法制関連法の廃止に向けてともに立ち上がることを、心から訴えます。

                                                                  2016年3月10日

 

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